飛鳥寺(明日香村)

  飛烏寺は、崇峻天皇元年(588)に蘇我馬子が発願し推古天皇4年(596)に創建された、わが国最初の本格的大寺院です。発掘調査(昭和31年)の結果では、束西約200m、南北約300mの寺域をもち、その西南に塔を中心として三金堂を置く大寺院であったことが判明しています。造営には百済の工人が当り、伽藍配置や瓦の文様などにも、当時の朝鮮の仏教文化の影響が色濃く出ています。

 

 本尊の国重要文化財で現存する最古の金銅仏とされる飛鳥大仏(釈迦如来座像)は609年(推古天皇17年)に、止利仏師によって造られた日本最古の仏像です。鎌倉時代の火災で顔と手以外が失われ、補修されたと記す文献があり、当初の部分が少ないと考えられ、国宝には指定されていません。

残存部分を巡っては大部分が後世の補作だとするなど諸説があったが、2016年大阪大の蛍光X線分析を使った科学的な調査で右手と顔の部分が造立当初のものと考えられることが分かりました。

 

 旧伽藍は仁和3年(887)と建久7年(1196)に焼失し、室町時代以降は荒廃しましたが寛永9年(1632)と文政9年(1826)に再建され今に至っています。