30.つぬさはふ 磐余も・・・

つぬさはふ

磐余も過ぎず 泊瀬山

いつかも越えむ

夜は更けつつ

 

万葉集巻3-282 春日蔵首老

(かすがのくらのびとおゆ)

   


 歌の意味

夜は次第にふけてゆくのに、まだ磐余のあたりも越してはいない。こんなことでは、いつになったら

泊瀬山を越すことができるだろう。

 

☆古く磐余道安倍文殊院付近を通って、南は飛鳥へ、西は藤原京へ通じていたのであろう。急ぎの用事を帯びた心もとない作者の感懐も追想される。

 

春日蔵首老

続日本記の大宝元年三月十九日の条に僧弁紀を還俗せしめ、姓を春日蔵首(かすがのくらのおびと)、名を老(おゆ)と賜り、追大壱を授かるとある。

揮毫者  朝永(ともなが)振一郎

理論物理学者。量子力学でノーベル賞受賞。平和運動などにも尽力した。

   

 

歌碑の場所 30番

安倍文殊院の池に面して文殊院西古墳の墳丘裾に建つ