28.古に恋ふる鳥かも・・・

古に恋ふる鳥かも  ゆづるはの 

み井の上より 鳴き渡り行く 

万葉集巻2-111 弓削皇子 (ゆげのみこ) 

 

歌の意味

あの鳥は天武天皇のありし昔を恋い焦がれている鳥であろうか。ユゾリハの御井の上を鳴き渡っていくことだ。

 

弓削皇子

天武天皇の第六皇子。母は大江皇女(天智天皇の皇女)長皇子の弟にあたり、病弱だったらしい。 

 

古に恋ふらむ鳥は時鳥 

けだしや鳴きし 

我(あ)が恋(おも)ふるごと  

万葉集巻2-112 額田王(ぬかたのおおきみ) 

 

歌の意味

昔を恋い焦がれているという鳥はホトトギスであろう。おそらく鳴いたことでしょう。私が思い焦がれているように。

 

額田王

万葉女流歌人、舒明天皇3年(632)頃の生まれと考えられ天智・天武両朝にわたって情熱の歌人として豊かな才能を発揮する。 

揮毫者 金本朝一(かなもとあさいち)

大阪府立高校教員時代、明日香に関する研究で知られる。古代史研究・万葉大和の会主宰。

 

歌碑の場所 28番

 粟原の里、天満宮神社のうしろに栗原寺跡があり、その側に建つ。