7.あなしがわ河波たちぬ・・・

痛足河 河波立ちぬ 巻目

 

 由槻が嶽に 雲居立てるらし

  

 万葉集卷7一1087 柿本人麻呂


歌の意味

穴師(あなし)川に川波が立っている。巻向山の由槻嶽に雲がわきあがっているらしい。

☆一陣の強風が穴師川(巻向川)を打ち・川波が騒ぎ、草木の靡散(びさん)によって、由槻が嶽(巻向山)の状況を推測している。山雨まさにいたらんとする山中の天候異変の光景が、時代を超えて真に迫る格調高い歌である。

  

柿本人麻呂

 飛鳥時代の代表的な歌人。後世、山部赤人とともに歌聖と呼ばれる。人麻呂は巻向山麓の里に愛する妻が住んでいたために、この付近の自然を歌った作品が多い。

 

 

揮毫者 棟方 志功

 

昭和期の版画家。「大和し美し」が出世作となる。独特の板画(独自の用字)を発表。存在感のある女性美仏教的境地を描く。

歌碑の場所 7番

巻向川の川べりに小さな竹やぶがあり。道路面より低いところに建っている。