16.紫は灰さすものぞ・・・

紫は灰(ほの)さすものぞ 

 

海石榴市(つばいち)の 

 

八十(やそ)のちまたに 

 

逢へる子や誰

 

   万葉集卷12-3101 作者不詳


歌の意味

つば市の辻で逢った貴女は、何というお名前ですか。

(紫)

紫草、山野に自生する宿根草。夏に五弁漏斗状の白青色の小花をつける。根は紫の色素を含み、古代から染色に用いられている。

(ほのさすものぞ)

万葉の原文は「灰指物曾」となっている。紫の色を出すために灰のアクを用いた。 

揮毫者  今 東光

 

小説家。昭和五十六年「お吟さま」で直木賞を受賞。参議院議員や平泉中尊寺貫主もつとめる。

 

歌碑の場所 16番

海石榴市観音に通ずる道の三差路に建つ。