47.人言を しげみ言痛み・・・
人言を
しげみ言痛み
おのが世に
いまだ渡らぬ
朝川わたる
万葉集2-116 但馬皇女
歌の意味
人の噂があれこれとひどくやかましいので、生まれてまだ一度も渡ったこともない朝の川を渡ることだ。人目につかないよう早朝に帰る。
但馬皇女
高市皇子の妻でありながら穂積皇子に思いを寄せたので、一夫多妻の時代とはいえ皇女の積極的な行動は人の噂に登りあれこれ取り沙汰されたのであろう。穂積皇子は大伴坂上郎女を愛していたので、但馬皇女の燃えるような情熱と、道ならぬ恋に、いささか躊躇したと思われるが皇女の激情はそんなことにお構いなく身を恋しい皇子のもとに運ばせたのであろうか。